軽減税率 与党協議10月中旬に再開
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:10/02/2015  提供元:エヌピー通信社



 消費税10%時の負担軽減策をめぐる自民、公明両党の協議は両党の溝が埋まらず、10月中旬に仕切り直すことが決まった。公明党の山口那津男代表は安倍晋三首相との会談で軽減税率について意見交換するなど、首相官邸への働きかけをテコに協議の主導権を握りたい考えだ。

 自民党は財務省から複数税率(軽減税率)の代わりに提案された還付金制度案について「理解が深まってきている」(野田毅税調会長)との立場で、同案を軸に検討を進める構えを崩していない。公明党があくまで軽減税率制度にこだわって歩み寄らない場合は、低所得者に一定額を配る現行の「簡素な給付措置」を継続すればいいとの声が自民党内には広がりつつある。

 与党税制協議会の軽減税率制度検討委員会は9月25日、こうした自公の立場の違いから、10月中旬まで「冷却期間」(自民党税調幹部)を置くことを決めた。10月上旬には内閣改造や自民党役員人事が予定されており、新体制のもとで改めて協議する必要があるとの事情もある。

 公明党の山口代表は協議の仕切り直しが決まった25日、官邸で安倍首相と会談した。山口氏は会談後、記者団に「与党の公約として掲げた軽減税率導入について、税制(改正)大綱に沿って与党で議論を深めてもらいたいということで、認識は一致した」と語った。軽減税率の「2017年度からの導入を目指す」とした15年度税制改正大綱を踏まえた議論が必要との認識だ。

 しかし、財務省や自民党税調は還付金制度案を「日本型軽減税率制度」と主張している。首相は山口氏に言質を与えなかったとみられるが、同氏と会談したことは公明党への配慮の表れとも言える。自民党税調は「税制は税調が決める」(幹部)とけん制しており、与党税協は官邸の動向をにらみながら激しい綱引きを演じることになりそうだ。