衆院選にらみ景気浮揚策で対立 民主・農林漁業育成VS自民・公共事業投資
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/22/2012  提供元:エヌピー通信社



 来月の衆院選をめぐる経済・財政政策の争点として後退局面にある景気の浮揚策が浮上してきた。民主党は、再生エネルギーの推進や稼げる農林漁業の育成などを柱とする「日本再生戦略」の前倒しなどを掲げる。これに対し、自民党は減災・防災目的の公共事業への積極投資などにより景気刺激を目指しており、両党の違いが鮮明となっている。

 政府は11月の月例経済報告で4カ月連続で景気の基調判断を下方修正した。海外経済の減速などを背景とした景気の下振れリスクが高まっている。衆院選後に誕生する新政権は来秋に14年4月の消費税引き上を判断する。その際、来年4~6月の国内総生産などの指標が判断材料になることから、増税を実現するためにも即効性のある景気対策を講じることが求められている。

 野田佳彦首相は16日の閣議で、補正予算編成も視野に入れ、今年度予算の予備費を活用した経済対策を月内にまとめるよう指示した。再生戦略の重点分野に関する政策などを対策に盛り込む方針だ。野田首相は16日の会見で、「自民党のような公共事業へのばらまきではなく、人への投資を重視し、雇用を生む」と訴えた。

 一方、自民党の安倍晋三総裁も景気対策として思い切った補正予算編成が必要と主張している。災害に強い国土づくりを進めるため、防災・減災対策の公共事業に、民間支出を含めて10年間で200兆円を投じる国土強靱化を掲げている。民主党などからのばらまき批判に対して、安倍総裁は、「デフレ脱却のためにやるべき公共投資は、マクロ経済的にも正しい」と主張し、政権を奪還した際は、公共事業などを柱に据えた補正予算編成を目指すとみられる。ただ、各省からは「作業を迅速に進めるため、補正予算編成は与野党で協力しながら進めてほしい」(内閣官房幹部)との声もある。