燃費偽装問題エコカー減税分三菱自が全額負担へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/09/2016  提供元:エヌピー通信社



 三菱自動車は軽自動車の燃費偽装問題を受け、車の保有者に支払い義務が生じるエコカー減税分の返還額を全額負担する方針を固めた。今後燃費の再計測でエコカー減税のランクが下がるなどした場合、保有者には購入時などに減免された税の差額を過去にさかのぼって支払う義務が生じるが、三菱自は偽りの燃費でユーザーを騙した上に追加の税負担までさせては企業イメージが地に落ちると判断。政府も事態の特殊性を踏まえ、ユーザーの手間をかけさせない形での肩代わり納付を認める方針だ。

 偽装があったのは2013年6月以降に販売した「eKワゴン」と日産自動車に供給した兄弟車種「デイズ」、派生車種の「eKスペース」と「デイズクルーズ」の計4車種62万5000台。

 エコカー減税は燃費などの良さに応じ、購入時にかかる自動車取得税(地方税)、購入時と車検時にかかる自動車重量税(国税)を割り引く制度だ。不正4車種のうち、例えばeKワゴンの最多販売モデル「Mグレード2駆(」119万6640円)の燃費はガソリン1リットル当たり30・4キロメートル。ガソリン車で5ランクあるうちの最高ランク「2020年度燃費基準20%以上達成車」に区分され、通常なら購入時だけでも計2万7400円かかる2税がエコカー減税によって全額免除されていた。

 しかし三菱自が予想するように再計測で燃費が5~10%悪化した場合、「Mグレード2駆」エコカー減税は1ランク低い「燃費基準10%以上達成」(従量税75%軽減、取得税80%軽減)になる可能性が高い。その場合、6000円程度の差額支払い義務が発生する計算だ。

 三菱自の軽には燃費偽装によってかろうじて減税ランクを達成した車種が多く、不正による燃費性能水増し分を差し引くと、ほとんどの車種で1~2ランク下がる可能性が高い。他の車種でも燃費偽装が疑われており、三菱自のエコカー減税追加納税額は、総額100億円を超える可能性もある。