EUとのEPA交渉が岐路 自動車・テレビ、ワインでせめぎ合い
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/07/2014  提供元:エヌピー通信社



 日本と欧州連合(EU)との間の経済連携協定(EPA)が、本格交渉に入れるかどうかの岐路に立たされている。日本側は自動車やテレビなどの関税撤廃を要求し、EU側はワインやチーズなどの関税撤廃のほか、自動車や電車に関する事業に欧州企業が参入しやすくするよう求めている。EU加盟各国は4~5月に日本側の譲歩内容を精査し、交渉を継続するか判断することにしている。

 EU側が最も強く要求しているのがワイン関税の即時撤廃だ。輸入ワインに対し、15%または1リットル当たり125円の関税をかけている日本は、即時撤廃ではなく最長10年の段階的な撤廃なら応じる姿勢を見せている。

 財務省によると、2011年に輸入したワインの上位5カ国のうち、1位フランス、3位イタリア、4位スペインの3カ国がEUから入っている。輸入量2位のチリと日本との間ではすでに07年から19年まで12年間かけ、段階的に関税撤廃する協定が発効している。今年で関税は半分ほどに下がり、チリワインは手ごろな値段ということもあって輸入量は06年から倍増している。このため、EUは日本市場をチリワインに席巻されることに危機感を受け、即時撤廃に強いこだわりを見せている。

 EUは、チーズやパスタ、チョコレートなどの関税撤廃も同時に求める。しかし、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉で、日本が“聖域”と位置づけている農産品の「重要5項目」に含まれる「乳製品」「麦」「砂糖」に該当するため、日本はTPP交渉の進捗をみながら交渉を進める方針だ。

 一方、日本はEUが自動車に課す関税10%の早期撤廃を目指す。すでにライバル国である韓国がEUと協定を結び、日本より低い関税率で輸出しており、遅れを取り戻すのが日本の喫緊の課題。しかし、大手自動車メーカーのあるフランスやイタリアなどの反発が強く、「欧州車を、EUと安全基準が異なる日本に売るために、追加コストがかかっている」と主張して、日本に基準統一など欧州車の販売台数が伸びるような規制緩和を要求。日本の譲歩が足りなければ交渉打ち切りも辞さない姿勢だ。