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中期財政フレーム 新規国債発行額を抑制
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:08/19/2011 提供元:エヌピー通信社
政府は8月12日、2012年度から3年間の予算の大枠を示す「中期財政フレーム」を決定した。
国債費を除く歳出を前年度並みの約71兆円に据え置き、12年度の新規国債発行額を約44兆円以下に抑えることで、東日本震災後も財政規律を維持する姿勢を示した。今後は来年度予算案と東日本大震災の復興対策を盛り込んだ11年度第3次補正予算案の編成作業が本格化するが、巨額の財源をどう確保するかが最大の焦点となる。
来年度予算では、前年度に続いて高齢化に伴う社会保障費の自然増加を容認する方針で、歳出抑制には1.2兆円の自然増分を他の予算削減でどう吸収するかがカギとなる。民主党政権のマニフェスト達成のために過去2年、事業仕分けなどで歳出削減に取り組んできただけに、「社会保障の削減などの抜本策に踏み込まない限り、削減余地はほとんど残っていない」(財務省幹部)のが実情で、各省との折衝は難航が必至だ。
歳入面でも、震災による税収落ち込みが予想される上、特別会計の「埋蔵金」は過去数年の大幅な取り崩しで枯渇しており、「国債44兆円枠」の維持は、さらに難題となりそうだ。
一方、今回の中期財政フレームでは、震災の復旧・復興のため今後発生する支出について、一時的に復興債で賄った上で、将来の臨時増税で償還する方針を明記し、「震災後も財政健全化の道筋をたどる」(野田佳彦財務相)ことを示した。
ただ、民主党内には「増税よりデフレ脱却を優先すべき」との主張も根強く、ポスト菅首相の代表選で争点化するのは確実な情勢。次期政権の方針次第では、中期フレームの枠組みが根底から覆る可能性も残る。
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