IMF・世銀年次総会閉幕 各国から日銀への注文相次ぐ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:10/19/2012  提供元:エヌピー通信社



 国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会が、48年ぶりに東京で開催された。世界188カ国の財務相や中央銀行総裁が一堂に会し、下振れしつつある世界経済への対応策がメーンテーマとなった。ただ、先進国はいずれも財政再建の真っ只中とあって、景気下支えは、中央銀行による金融緩和に依存する姿が鮮明。なかでも日銀に対する注文が相次ぎ、来春に任期が切れる白川方明総裁の後任選びをめぐる動きも垣間見えた。

 一段の金融緩和を求める急先鋒で、外国債券購入による円高是正とデフレ脱却を唱える前原誠司・経済財政相は総会期間中、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁と相次いで会談した。中銀総裁はカウンターパートではなく、会談は通常もたれないが、前原氏たっての希望で実現した。会談では、前原氏が政府・日銀が連携してデフレ脱却にあたる考えを示したとみられるが、思い切った金融緩和を打ち出したばかりの欧米中銀トップとの会談は、白川総裁へのけん制だったのは間違いない。

 次期首相に現時点で最も近く、次の日銀総裁選びのカギを握るとみられる自民党の安倍晋三総裁も、「(白川総裁の)今までの対応では不十分ではないか。(次期総裁は)思い切った大胆な金融政策を行っていただける方がいい」と発言、日銀にプレッシャーをかけた。

 一方、英エコノミスト誌は、総会直前にホスト役である財務相が交代したことを酷評。「唯一知られた白川総裁のメッセージは政治家に無視され、来春に再任されることはないだろう」と日本の政治状況を嘆いた。日本復活を描けないまま、「日銀たたき」で溜飲を下げる政治家たちが、いずれ世界からそっぽを向かれるのは確実だろう。