特例公債法案の成立めど立たず 予算執行抑制へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:09/07/2012  提供元:エヌピー通信社



 今年度予算の約4割の歳入の裏付けとなる赤字国債を発行するための特例公債法案の成立のめどが立たない。政府は8月31日、財源が枯渇する事態を先送りするため、予算執行の抑制という事態に追い込まれた。抑制策によると、医療、介護など社会保障費などは原則として執行対象から外した。一方で、自治体へ配る地方交付税や国立大学や独立行政法人などの運営に充てる補助金を減額することにした。

 「地方交付税を減額する場合は財政力が弱い自治体に配慮してほしい」。野田佳彦首相と全国地方6団体の代表が参加し、8月30日に首相官邸で開かれた「国と地方の協議の場」の場で、全国知事会長の山田・京都府知事は切実に訴えた。政府は9月4日に予定されていた地方交付税(約4兆円)の支払いをいったん延期した。ただ、地方の声を受けて財政力の弱い市町村などには満額支給するなど配慮する方針だ。

 今秋に臨時国会が召集されて、同法案が成立すれば、道府県の資金繰りに大きな影響を与える可能性は低いと見られる。資金不足に陥った場合でも、短期的には銀行借り入れなどにより急場をしのぐことはできる。ただ、法案が成立しない状態が長期化すると、自治体財政に深刻な影響を与えかねない。東北地方のある県は「一部の行政サービスについて抑制が必要になるかもしれない。1日でも早く法案を成立させてほしい」と訴える。安住淳財務相も「10月、11月になっても法案の成立が見込めないと、抑制という言葉ではすまず、自治体や各種団体にお金を予定通り送れなくなる」と警鐘を鳴らす。