税と社会保障一体改革 社会保障部分の“骨抜き骨子”決定 受診時定額負担は現行維持
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/22/2011  提供元:エヌピー通信社



 政府は12月20日、関係5大臣会合を開き、「社会保障と税の一体改革」の年内素案決定に向け、まずは社会保障部分の改革骨子を決定した。古川元久・一体改革担当相は記者団に「成案で定めたフレームの中で充実、重点化・効率化を図った」と強調したが、額面通りに受け取る向きは少ない。成案段階で盛り込まれた国民負担に直結するメニューが軒並み骨抜きにされたためだ。

 その代表例が、受診時に外来患者から100円を上乗せ徴収する「受診時定額負担」の導入。日本医師会など関係団体のロビー活動もあり、民主党内では見送り論が体制を占めた。70~74歳の前期高齢者の医療費自己負担割合を現行の1割から2割に戻す案も抵抗が強く、結局、骨子では12年度は現行水準を維持し、13年度以降も「予算編成過程で検討」と見直しに向けた直接的な言及は避ける、腰の引けた決着となった。

 政府は6月に決定した成案で、2015年度までに社会保障分野で3.8兆円の機能強化を進める一方、効率化・重点化により1.2兆円の財源を生み出すと説明していた。

 骨子では「1.2兆円」部分が大きく後退したのは明らかで、政府内には「重点化ばかりが具体化され、このままでは社会保障費の肥大化に歯止めがかからなくなる」と懸念が広がっている。

 「年末に消費税議論を控え、党内の不満を抑え込む必要があった」。民主党幹部はこう解説するが、消費増税の前提となる社会保障のフレームが大きく揺らいだことで税率引き上げの根拠を厳しく問われるのは必至だ。