生保二重課税問題 還付と思ったら納付!?
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:10/22/2010  提供元:エヌピー通信社



 相続税と所得税の二重課税問題に大鉈を振るった最高裁判決は、これまでの課税のあり方を変え、さまざまな波紋をもたらしている。判決により税の還付対象となった納税者としては、税金が戻ってくるのは嬉しいが、一方で、二重課税の対象となっていても、還付ではなくむしろ納税になる可能性がある人がいるという。

 そもそもこの相続税と所得税の二重課税問題だが、還付の対象となるのは、(1)死亡保険金を年金形式で受給している人(2)学資保険の保険契約者の死亡にともない養育年金を受給している人(3)個人年金保険契約に基づく年金の受給権を相続した人ーなど。

 基本的には、これらに該当しており、年金受給時に源泉徴収された所得税を確定申告などで全額還付されていなければ、今回の判決により還付の対象となる。

 ただし、ここで気をつけなければならないのが、年金型の保険金は雑所得に該当し、原則として確定申告義務があるということ。保険金を受け取る前に、保険会社において所得税10%を源泉徴収されているため忘れがちだが、たとえばサラリーマンでも給与以外の所得が20万円以上あれば確定申告の義務がある。

 この保険金の所得をほかの所得金額と合算する前も後も、所得税税率と同じ10%となる人ならば、保険金について確定申告してもしなくても、結果的には納税額は同じ。

 だが、本来の所得税の累進税率が5%以下の人なら差額が還付されていたはずであり、また20%以上の人なら差額を納付する必要があったということになる。さらには、保険金を合算したことで所得税の税率の区分が変われば、最終的な所得税額は大きく変わってくる。