国債発行、リミット迫る 危機感強める財務省
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/20/2011  提供元:エヌピー通信社



 通常国会の会期末(6月22日)が約1カ月後に迫る中、赤字国債発行に必要な特例公債法の成立見通しが立たず、財務省は危機感を強めている。11年度の赤字国債の発行額は37兆円と、1次補正後の予算額92.7兆円の約4割を占めており、秋にも枯渇する恐れがあるためだ。

 財務省は現在、毎月の税収や、最大20兆円まで発行が許されている財務省証券などで、東日本大震災の復旧事業や、その他の事業費を賄っている。4月に設定した予算執行方針で、一般会計から特別会計への繰り入れを遅らせるなど、年度前半の歳出を抑制するやりくりを行っている。

 だが、予算規模がほぼ今年度と同じ10年度の場合、10月末で歳出累計は52兆円に達しており、同じペースなら秋には財源が枯渇する計算。今国会中に特例公債法が成立しなければ、予算執行の大幅削減や業務の一部停止が現実味を帯びるとみられ、そうなれば東日本大震災の復旧・復興の歩みも阻害しかねない事態となる。

 一時は、子ども手当法案で野党側に大幅に譲歩することと引き換えに、特例公債法案成立に道筋がつくかに見えたが、内閣支持率が低迷するなか、会期末が近づくにつれ野党はむしろ対決姿勢を強め、子ども手当修正だけでは、野党側の協力を得られるか不透明になりつつある。