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終日陳情の大攻勢土地改良予算 大幅増額へ
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:11/20/2015 提供元:エヌピー通信社
2016年度当初予算と15年度補正予算編成で、土地改良予算が台風の目となってきた。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の大筋合意を追い風に、自民党の地方選出議員達が1千億円規模の予算増を政府や党執行部に要請。「朝から晩まで土地改良陳情団が押し寄せてきて仕事にならない」(党職員)ほどの大攻勢で、来年度は財政健全化計画初年度に当たるにもかかわらず、土地改良は大幅増額前提の「聖域」と化しつつある。
圃場(ほじょう)整備などを行う土地改良の業界団体「全国土地改良事業団体連合会(全土連)」は自民党の主要な支持組織だ。民主党政権時代には小沢一郎氏主導による「自民党潰し作戦」の一環で、予算が政権交代前の3分の1の2100億円程度に削られた。自民党が政権に返り咲いて以降は徐々に予算を復活させ、15年度当初予算には約2800億円を計上したが、まだかつての自民党政権時代の半分程度という状況だ。
そこで全土連は今年3月、豪腕政治家として知られる二階俊博・自民党総務会長を全土連会長に招請。二階氏は来夏参院選の自民党比例代表に元農水官僚を全土連組織内候補として擁立するなど、なりふり構わぬ攻勢をかけ始めた。今後年1千億円ずつ増額させ、3年で予算を完全復活させるシナリオを描く。
財務省などはウルグアイ・ラウンド時の農業対策がばらまき批判を招いたという教訓を盾に、政治介入を断固阻止したい考えだ。しかし土地改良は地方景気対策の公共事業的性格も伴うだけに、官邸も自民党執行部も増額容認に傾いている。もはや焦点は大幅増額を前提に、農産品輸出振興など「攻めの農業」のための施策だとアピールするなど、どうやって政治銘柄色を隠すかに移っている。
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