新内閣発足するも…実効性欠く「新3本の矢」党内からは選挙対策求める声
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:10/09/2015  提供元:エヌピー通信社



 安倍晋三首相は10月7日、内閣改造を行い、アベノミクス新3本の矢(強い経済、子育て支援、社会保障)の具体化作業を本格化させた。しかし矢に実効性を持たせるのは財政や来夏参院選対策などの制約もあり容易ではない。旧3本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略)にもほころびが見え始め、アベノミクスは岐路に立たされている。

 1本目の矢「強い経済」は旧3本の矢をひとまとめにしたものだ。安倍政権は2012年末の再発足以来、日銀の大規模金融緩和(大胆な金融政策)により円安、株高を演出。積極的な公共投資も相まって過去最高の企業業績や雇用拡大をもたらした。この成果を追い風に旧3本の矢に引き続き経済再生への主軸を担わせる考えで、内閣改造では司令塔役の甘利明経済再生担当相と麻生太郎財務相の留任を真っ先に決めた。

 しかしこの旧3本の矢が限界を見せつつある。4~6月期の実質GDPは年率マイナス1.2%。企業は増益分の一部を賃上げに回し始めているものの、賃上げペースが円安による物価上昇に追いつかず消費を冷え込ませたことが一因だ。頼みの株高も中国経済変調などで不安定。市場では追加金融緩和への期待が根強いが、日銀は同日の金融政策決定会合で政策の現状維持を決定。黒田東彦総裁は「経済成長と財政再建の両立が強い経済に必要」と金融政策への過度な依存を戒めた。

 とはいえ残る旧2本の矢は金融政策以上に心許ない。政府は6月、財政健全化計画を決定。健全化計画を守ろうとする限り大胆な財政出動は行えない。成長戦略に至っては、国家戦略特区が鳴かず飛ばずであるなど現状不発に終わっている。

 政府は状況打開に向け、経済界に設備投資拡大などの圧力を強める方針。さらに大筋合意に至った環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を追い風に、農業や輸出産業の国際競争力向上を促す施策を検討中だが、来夏に控える参院選は組織票が勝敗を左右するだけに既得権益に切り込む改革は難易度が高い。自民党内からは補正予算編成など業界団体向けのアメを求める声が日増しに高まっている。