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非居住者馬主は日本で課税
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:11/12/2010 提供元:エヌピー通信社
日本競馬の国際試合「ジャパンカップ」の開催も近づいてきた。近年はこのレースに多くの海外馬も参戦し、日本競馬も国際化の時代に入った。国際化の象徴として実は昨年、日本国内の非居住者が馬主登録することを認められた。すでにアラブ首長国連邦の副大統領であるシェイク・モハメド殿下と、その一族ら数人が非居住者馬主として認可されており、今年に入っていくつか勝ち星を上げている。
日本競馬の賞金は、世界でも最高水準であることが知られているが、モハメド氏のような非居住者馬主が高額な賞金を受けた場合、その課税関係はどのようになるのだろうか。
非居住者に対する所得税は、国内で稼いだ所得、いわゆる「国内源泉所得」のみがその対象とされている。つまり、非居住者馬主が受けた競馬の賞金が国内源泉所得に該当するかどうかがポイントとなる。
その点、非居住者馬主は、国内の調教師に競走馬を預託し、調教師により育成・調教されレースに出走するとともに、休養のために国内の牧場に預けられることから、その所有馬は「国内にある資産」であると考えられる。所得税法161条では、「国内にある資産の保有により生ずる所得」を国内源泉所得としているので、非居住者馬主が受ける競馬の賞金は、総合課税により日本の所得税が課税されることになる。
ただし、国内で競走馬を所有したことによる所得が「事業規模」である場合はこの限りではない。所得税法では、国内に恒久的施設(PE)を有しない非居住者が得る事業所得は、日本では課税されないこととされている。そのため、非居住者馬主が(1)その年以前3年間の各年において競馬賞金収入がある(2)その3年間のうち、年間5回以上出走している競走馬を保有している年が1年以上ある――という条件をいずれも満たすことで、その所得は事業所得と認められ、国内にPEを有していなければ日本では課税されない。
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