経団連の税制改正提言 消費税 2020年代半ばに10%台後半
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:09/30/2011  提供元:エヌピー通信社



 経団連の「平成24年度税制改正に関する提言」で挙げられた「個別税目に関する具体的な課題」では、消費税と法人税について特に多くの行数を割いている。消費税増税で大きな負担を被る可能性が高い中小・零細企業にとっては、必ずしも納得できない部分もありそうだ。

 消費税については、「国民で負担を広く分かち合う税目」、「経済活動に最も中立的」として、社会保障制度の財源にする税目の中で「最もふさわしい」と述べている。改革の第1段階として「税率を2015年までに10%まで、段階的に引き上げる」としたうえ、さらに第2段階では「2020年代半ばまでに10%台後半に引き上げることは避けられない」と付け加えている。低所得者層の負担が大きくなる逆進性の問題に対しては、税率が10%を超えた段階で給付付き税額控除の導入等を検討すべきとした。

 法人税は、国内雇用の維持・増加や海外企業の直接投資の呼び込みなどの観点から、平成23年度税制改正法案で盛り込まれた法人税の実効税率5%引き下げを実施すべきとした。さらに段階的に引き下げていき、現在の実効税率である40%から25%にまで下げることを求めている。また、復興財源として法人税の増税が止むを得ない場合は、実効税率5%引き下げが先行して行われることが前提であり、その減税分を限度として時限的に課すか、施行を一定期間遅らせる方式を掲げた。

 そのほか、所得税では、各種控除の見直しや給付付き税額控除制度の導入、子育て世帯や低中所得者層への重点的な支援を提言。相続・贈与税については、中堅資産家層の経済基盤を損なわないように配慮したうえで、相続税の課税ベース拡大や贈与税の負担軽減など、総合的な見直しをするべきとした。