第3次補正、各省庁の要求出揃う 原発関連の「交付国債」発行枠は5兆円に
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:09/16/2011  提供元:エヌピー通信社



 財務省は9月9日、東日本大震災からの本格的な復興対策や円高・デフレへの対応策を盛り込んだ2011年度第3次補正予算案について、各省庁からの要求を締め切った。月内にも与野党合意を取り付けて、来月中旬の国会提出を目指す。

 復興対策では、農水省が加工、流通機能を備えた拠点漁港の整備や、農地の大規模化支援など、成長戦略に基づく農漁業強化策を盛り込んだ。他省庁も、「再生可能エネルギー研究拠点整備」(経産省)や、地域で必要な医療・介護サービスを一体的に提供する「地域包括ケア整備」(厚生労働省)など、少子高齢化や原発に依存しない社会づくりを見据えたモデル事業を要求。防災・減災の観点から、沿岸住民の高台などへの集団移転事業費や、学校の耐震化などの要求も出された。

 また、円高に伴う産業空洞化対策では、経産省が企業の国内立地推進に5000億円、レアアース(希土類)などの鉱山買収や代替技術開発支援などに280億円をそれぞれ要求した。また、原発の停止に伴う電力・エネルギー対策として、省エネ設備整備を助成する「節電エコ補助金」に2000億円、石油備蓄の強化などに300億円も求めた。

 東京電力福島第1原発事故に伴う賠償を支援するための原資となる「交付国債」の発行枠も、経産省が現行の2兆円から5兆円に拡大する要求を提出した。

 要求総額は基礎年金の2分の1国庫負担を維持するための2.5兆円を併せて10兆円程度となった模様だ。ただし、予算案の裏付けとなる財源を巡っては、復興のための臨時増税に対する政府・与党内の意見が割れており、予算案の国会提出が想定よりずれ込む可能性もある。