15年度予算 過去最大96兆円超え 税収増も財政健全化「困難」
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:01/19/2015  提供元:エヌピー通信社



 政府は1月14日の臨時閣議で、一般会計総額96兆3420億円に上る2015年度予算を決定した。財政健全化目標は達成が可能との試算も合わせて示したが、社会保障費の増大で予算規模は過去最大となり、薄氷の財政運営が続く。麻生太郎財務相は同日の記者会見で「歳入面についても既存税制の部分的な手直し程度では(うまく)いかない」と述べ、今夏までに策定する財政健全化計画に合わせ、税制の抜本改革に着手する意向を表明した。

 政府は15年度で、新たな借金をせず政策に充てる経費をどれだけ賄えているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の赤字を10年度比で半減させる目標を掲げてきた。財務省の試算では、15年度予算に基づく国のPB赤字は14年度から4.6兆円改善し13.4兆円になる見込み。地方分も含めたPB赤字の対国内総生産(GDP)比は3.3%程度で、10年度(6・6%)から半減するとした。

 目標達成のめどが付いたのは税収増の影響が大きい。企業業績の回復や賃金上昇などに伴い法人税や所得税は増収を見込み、税収全体では92年度決算(54兆4553億円)を上回る54兆5250億円(14年度当初比4兆5240億円)を見込んだ。

 ただ、歳出は高齢化の進展で恒常的に増大傾向にあるのに対し、税収増は一時的な側面が強く、財政再建への道筋は危うい。麻生氏は20年度のPBの黒字化目標について「極めて難しい状況にある」と指摘。「中長期的な視点から税制体系全般にわたる構造改革を検討していく必要がある」と述べ、増税を含めた基幹税全体の見直しに踏み込む可能性を示唆した。