G8サミット 多国籍企業の課税逃れを許さない 国際ルールづくり策定へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:06/21/2013  提供元:エヌピー通信社



 6月17、18日に英国のロックアーンで開かれた主要8カ国首脳会議(G8サミット)の首脳宣言で、「税務当局間の自動的な情報交換の構築」を目指す方針が盛り込まれ、多国籍企業による課税逃れを防ぐための国際ルール作りを進めることで一致した。経済協力開発機構(OECD)は、多国籍企業がどこで利益を生み、どこで税を払っているかを把握する仕組み作りを進めて6月中に15の行動計画にまとめる方針で、各国首脳が政治的なお墨付きを与えた。

 2008年のリーマン・ショック以降、各国は財政が悪化して増税や社会保障の縮小など、痛みの伴う緊縮策を余儀なくされている。一方、多国籍企業が税率の低い国に子会社を作るなどして税の支払いを少なく済ませているところもあり、各国政府が対応に立ち上がった。

 法人税率などが極端に低い租税回避地(タックスヘイブン)に設けた関連会社に利益の移転するのが典型的な手法。利益を生み出している商標権や特許権などの無形資産を関連会社に安く売却、譲渡し、権利使用料による収益を親会社でなく関連会社にため込むことで、グループ全体で支払う税金を少なく済ませている。

 こうした手法で批判されているのがアマゾンやアップル、スターバックスなど。英国では、スターバックスが売上高に比べてわずかな法人税しか払っていないことが昨年発覚し、不買運動にも発展した。「キャメロン英首相が支持率回復を狙って、国民にわかりやすい税の問題をサミットに取り上げた」(日本政府関係者)という側面もあるようだ。

 OECDは課税逃れ対策のための報告書を6月に公表し、7月にモスクワで開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に報告する。国外の子会社の透明性向上など先進国間で本格的な課税逃れ対策を進める。