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年金交付国債の発行取り下げ案が浮上 国内外で財政不信招く懸念も
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:04/13/2012 提供元:エヌピー通信社
政府・民主党内で、基礎年金の財源を賄う「年金交付国債」の発行を取り下げ、自民党の主張する「つなぎ国債」に切り替える案が浮上している。消費増税法案の審議入りを控えて、国会対策を円滑に進める思惑がある。安住淳財務相は10日の閣議後の記者会見で、「国会で通りもしないものをずっと持ちこたえても、日本の政治は動かない。私どもはいわばまな板のコイ」と交付国債の撤回を示唆した。
交付国債は発行時点で赤字国債に計上されず、将来の消費税増税を当て込む。財政健全化目標の約44兆円としている新規国債発行枠を維持することができるとしているが、自民、公明両党は「粉飾予算」と反発している。一方、自民党が主張するつなぎ国債は、赤字国債で基礎年金の財源を手当てし、その償還を消費増税で賄う。
つなぎ国債に切り替えた場合、財政規律が緩む懸念がある。税と社会保障一体改革をめぐる議論の過程で、財政健全化への道筋が後退した前例がすでにある。政府は名目国内総生産(GDP)に対する基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字比率を10年度に比べ、15年度に半減させる目標を掲げている。しかし、昨年末に民主党内の議論が紛糾し、消費増税の引き上げ時期を半年遅らせたため、PBの赤字半減の時期は16年度に遅れる公算が高まった。さらにつなぎ国債を発行することになれば、新規国債発行枠の約44兆円をオーバーしてしまうため、政府内では「国内外での日本への財政不信が高まり、国債が売られかねない」と心配する声がある。
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