研究開発費減税の“恩恵”3700億円 資本金10億円以上の企業が9割占める
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:04/06/2012  提供元:エヌピー通信社



 国税庁がこのほど発表した2010年度分の「会社標本調査」(3217号既報)によると、研究開発費減税の“恩恵”を受けている企業のうち約9割が資本金10億円以上の「大企業」で、その総額は3700億円超の規模だったという。

 研究開発費減税は、製品の製造や技術の改良、考案、発明にかかわる試験研究のために企業が支出する「試験研究費」のうち、一定の割合を法人税額から差し引ける制度。

 10年度分の調査では、減税総額は3726億円で、89.6%にあたる3340億円が資本金10億円以上の大企業(連結納税グループ企業を含む)の減税額だった。その一方で、資本金10億円未満の企業の減税額は386億円にすぎず、研究・開発分野での中小企業の不公平感が拭えない減税制度となっていることが分かる。09年度は減税総額が2565億円で、大企業分は87.5%となる2244億円だった。

 この調査では「海外子会社配当益金不算入」の額もはじめて公表された。この制度は外国子会社から受ける配当などの額の95%を非課税とするもので、09年度に導入された。益金不算入とされる総額は3兆9417億円に上り、そのうち96.0%に当たる3兆7839億円が資本金10億円以上の企業規模(連結納税グループ企業を含む)の適用額で、仮にこれらの額すべてに30%の法人税(国税分)を課税すれば、1兆円を超える税収増になっていたものと試算できる。