実質GDP1.0%増 4四半期連続プラス 予想大きく下回る結果
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/21/2014  提供元:エヌピー通信社



 2013年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で、前期(7~9月)比で0.3%増、1年続いた場合の年率換算で1.0%増となり、4四半期連続のプラス成長となった。設備投資や個人消費が伸びた一方で輸出は伸び悩み、公共投資の効果も減退した。実質GDPの伸び率は7~9月期の年率1.1%増より鈍り、年率2.6%増だった市場予測を大きく下回った。経済成長のカギとなる成長戦略がどこまで起爆剤になるかは不透明な中、政府の経済運営に暗雲が漂い始めている。

 項目別には、企業の慎重姿勢が続いていた設備投資が前期比1.3%増となり、好調な企業業績を受けて企業マインドが改善し、製造業や建設業などで設備投資が伸びた。個人消費は前期比0.5%増と5四半期連続のプラス。前期は0.2%増と微増だったが、冬のボーナス増や消費税増税を見越した駆け込み需要があり、自動車販売やデパートのボーナス商戦が好調だったことが後押しした。

 また、12年度補正予算で計上されて景気を下支えしてきた公共投資は、前期比2.3%増と前期(同7.2%増)から大きく効果がはげ落ちた。

 一方、輸出は、アジア新興国の景気減速懸念が持ち直しの動きを見せ、中国向け輸出も回復したことから、前期比0.4%増と2四半期ぶりにプラスに浮上した。輸入は、9月に大飯原発3、4号機が停止して代替電力の火力発電の燃料となる液化天然ガスなどが増加。パソコンなどの輸入も膨らんで前期比3.5%増となった。

 予測を下回る成長率に、民間シンクタンクの評価は分かれた。大和総研は「民間在庫以外のすべての項目が増加し、決して悪い内容ではない」と好意的。一方で、BNPパリバ証券は「消費の基調が強いとは言い難く、設備投資の回復に加速感が感じられない。このままでは実質成長率は高まらない」と厳しい。

 甘利明・経済再生相は17日の記者会見で、「民需を中心に景気が着実に上向いている」と評価し、「景気を腰折れさせず、日本経済を成長軌道に早期に復帰させるため、経済対策の迅速かつ着実な実行に取り組んでいく」と述べた。