マイナンバー活用で資産把握 高所得者の医療費負担アップ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/01/2015  提供元:エヌピー通信社



 財務省が財政再建に向けた社会保障制度の見直し案をまとめた。来年1月にスタートするマイナンバーを使って重複診療や重複投薬を防いだり、金融資産を把握して財政的に余裕のある高齢者にさらなる負担を求めたりする仕組みの創設を目指す。

 政府は2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化する目標を掲げており、6月末に目標達成に向けた健全化計画を策定する。社会保障費は15年度に初めて31兆円を突破。財務省は社会保障費の伸びを目標年次の20年度に35兆~35・5兆円程度にまで抑えたい考えだ。

 財政再建の最大の焦点となる社会保障費の抑制に向け、財務省が着目したのが国民に12ケタの番号を割り振るマイナンバーの活用だ。現行法では税、社会保障、災害対策の3分野に利用が限定されているが、見直し案ではこれを医療分野にまで拡大。診療や処方せんの履歴と結びつけることで重複診療や過剰な薬の投薬を防止する枠組みの創設を盛り込んだ。マイナンバーを使って医療費の「無駄」を抑制する一方、負担能力のある高齢者にはさらなる負担を求めていく。

 マイナンバーは早ければ18年から預金口座にひも付けられ、個人の金融資産が把握しやすくなる。このため、介護保険の利用者負担や医療費の窓口負担、高額療養費の自己負担限度額などについて、所得や年金収入だけでなく金融資産にも着目して負担を求める制度を検討する考えだ。