中小企業の雇用状況
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:10/14/2014  提供元:税務研究会・税研情報センター



 経済産業省より中小企業の雇用状況に関する調査の集計結果が公表されました。


●賃金の引上げ状況




 経済産業省では、中小企業の雇用状況等に関する調査を本年6月に行い、調査票の提出のあった10,380社の状況について集計結果の公表を行いました。

 公表資料によると、平成26年度にベースアップや賞与・一時金の増額等、何らかの賃上げ(常用労働者1人当たり平均賃金の引上げ)を行った企業の割合は平成25年度の56.8に対し、64.5%という結果となりました。
 

 また、賃上げを行った企業のうち、36.2%の企業がベースアップに相当する賃上げを「実施する/した」(全回答企業に占める割合は23.4%)と回答しています。従業員規模別に見ると、従業員数が20人以下の企業においては12.3%ですが、従業員数が100人超の企業においては30.2%となっており、従業員規模が大きくなるほど、その割合が大きくなっています。

 賃上げの理由(複数回答)としては、従業員の定着・確保と回答した企業が最も多く75.7%、次いで業績回復の還元が28.9%となっています。平成26年度のベースアップ引上げ額(予定を含む)については、「2,000~5,000円未満」が42.4%で最も多くなっており、「8,000円以上」も13.5%を占めています。

 地域別で見ると、賃上げを行った企業は、昨年度に比べ全国的に増加し、地域間の格差も少なくなっており、地方へ「経済の好循環」が着実に波及しつつある状況が見られます。


●雇用を巡る環境

 各企業の人員計画の取組みでは、「人員を増やした」と回答した割合は、平成25年度の38.5%から平成26年度は43.3%と増加しています。その方法としては、平成25年度は「常用労働者を中途採用で増やした」が63.5%と最も多かったのに対して、平成26年度は「常用労働者を新卒採用で増やした」が57.4%と最も多くなりました。

 また、常用労働者及び非正規社員のキャリアアップ、意欲や能力を引き出す主な取組み等について、平成25年度以降に導入・拡充したもの(予定を含む)としては、常用労働者については「意欲や能力を引き出す取組み(資格取得、技能検定の受験料補助など)」が44.4%と最も多く、非正規社員については「報酬面での改善」が34.9%と最も多い結果となりました。

 今回の集計結果では、企業収益の改善をベースアップ等の賃金改善によって従業員に還元し、非正規社員の正規社員への転換や、子育て支援等の福利厚生の充実等、各社が工夫して従業員の処遇改善に取り組む様子が見られました。

【ニュースアンテナ10月号 税研情報センター】