日本のロボット技術
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:06/14/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 ロボット大国日本が、先進ロボット開発に向けて産学官連携しプロジェクト発進しました。


●日本のロボット産業の現状




 福島原発事故対応でQuince(クインス)が活躍し、その後もオールジャパンの技術を結集して災害対応ロボットが福島第一原発に投入されて一定の成果をあげていることは記憶に新しいところです。日本は産業用ロボットの稼働台数、生産シェアともに世界一のロボット大国で、これまで自動車や半導体産業を中心にロボットによる自動化・効率化が進められてきました。
 

 ロボットは主に活躍分野によって工場で使用される「産業用ロボット」と、医療・福祉や生活支援などで活用される「サービスロボット」に大別されます。経済産業省の将来市場予測によると、現在の市場規模は約1兆円ですが、2020年には2.9兆円、2035年には9.7兆円にまで拡大すると試算されています。

 現在、市場の8割程度を産業用ロボットが占めていますが、この分野では出荷・稼働台数とも日本が世界一の規模を誇っています。今後は産業用ロボットばかりでなく、家庭用自動掃除機「ルンバ」を始めとする一般家庭用ロボット、介護・医療用ロボットなどのサービスロボットの成長が期待されています。


●先進ロボットの将来

 少子高齢化に伴う労働力の代替や作業負荷の軽減といった役割で、ロボットは医療・介護、清掃、移動支援などへのサービス分野への普及が期待されており、アベノミクスの成長戦略を担う技術としても取り上げられています。特に介護分野では、2013年度から「ロボット介護機器開発・導入促進事業」として将来の高齢化対策を見据えた施策が始まりました。

 介護現場への導入が進められているものの例としては、高齢者の自立歩行を支援する「歩行アシスト」や「ロボットスーツHAL」、食事支援用の「マイスプーン」、癒しやセラピー用のアザラシ型ロボット「PARO(パロ)」があります。実際にロボットが導入されるのは、老人福祉施設などの介護現場からですが、「ロボットスーツHAL」が世界初の国際安全規格の認証を受けたことにより、海外市場展開へ向けての一つのステップとなりました。また、介護や医療で培われた最先端の技術が原発や宇宙分野に応用するという日本流の新しい広がりも始まっており、「ロボットスーツHAL」は福島第一原発の事故現場で働く作業員向けに改良されています。

 国際ロボット連盟によれば、生活支援分野を含むサービスロボットの世界市場は2011~2014年計で197億ドル超に成長すると推計されています。介護・医療分野だけでなく、家庭用へも普及が進むと予想され、ロボット大国日本の技術に世界からも注目が集まっています。

【ニュースアンテナ6月号 税研情報センター】