金融機関の中小企業向け融資方針
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:06/16/2014  提供元:税務研究会・税研情報センター



 金融機関の中小企業への融資方針は「より積極的」が5割強という調査結果となりました。


●中小企業への融資方針




 帝国データバンクが発表した、2014年度金融機関の「中小企業への融資方針」調査結果によると、2014年度に金融機関が掲げる融資方針については、金融機関全体の57.6%が「積極的」(「積極的になる」「やや積極的になる」の合計割合)と回答しました。
 

 業態別にみると、信用金庫では「積極的になる」「やや積極的になる」が合わせて54.7%と5割を超え、信用組合では72.6%と7割を超えており、内、35.3%の信用組合が「積極的になる」と回答しています。信用組合が3業態のなかで最も積極姿勢の割合が高い結果となりましたが、一方で銀行は「変化なし」が46.3%を占め、比較的小規模の企業が主要顧客である信用金庫・信用組合の積極的な姿勢が明らかになりました。

 融資方針が「積極的」「やや積極的」になるとの回答に対しての要因は、「経営方針」が83.1%とトップで、「金融機関の競争激化」(49.4%)、「景気の上昇見通し」(37.2%)、「顧客業界の環境好転」(26.0%)の順となりました。金融機関は、業界内の競争が激化する中、2014年度も景気が上向くとの見込みから、積極的な融資方針を掲げ、いっそうの顧客獲得、関係強化を図っていくものと調査では分析しています。


●融資判断で重視されるポイント

 金融機関が融資判断の際に重要視するポイントは、「経営者の資質」が56.4%とトップで、次いで「事業の成長性」(53.6%)、「取引状況全般」(53.1%)と上位3項目がいずれも5割を超える結果となりました。

 業態別にみると、銀行は「事業の成長性」(55.2%)、「借入目的・使途」(47.8%)、「経営者の資質」(44.8%)、「ビジネスモデル」(40.3%)の順で、「企業が借り入れを希望する意図や投資に対する成長可能性の見込み」といった戦略的要素を重視する傾向がうかがえる結果となっています。他方、信用金庫では、「経営者の資質」(60.3%)、「取引状況全般」(59.5%)がいずれも6割前後となり、信用組合でも「経営者の資質」(54.9%)、「取引状況全般」(52.9%)が「事業の成長性」、「借入目的・使途」の割合を上回っています。信用金庫、信用組合では「経営者が信頼できるか、健全に事業を営んでいるか」という点をより重視している傾向がみられる結果となっています。

 さらに調査では、多くの企業で経営改善が途上であると報告しています。中小企業経営者は、積極的な資金調達を行うために事業の現状と今後の計画を正確かつ具体的に示していくことがいっそう重要でしょう。

【ニュースアンテナ6月号 税研情報センター】