高齢者の消費動向
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:08/09/2012  提供元:税務研究会・税研情報センター



 我が国個人消費全体に占めるウェイトのうち高齢者の消費がますます高まっています。


●シニアマーケットの動向




 平成24年版高齢社会白書によると、平成23年10月1日現在の65歳以上の高齢者人口は過去最高の2,975万人(前年2,925万人)で、男性は1,268万人、女性は1,707万人で総人口に占める65歳以上の割合は現在23.3%に達しています。総人口が減少するなかで、高齢者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、約50年後の平成72年には、国民の約2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上の高齢者になると推計されます。

 高齢者世帯の年間所得(平成21年の平均所得)は307.9万円となっており、全世帯平均549.6万円の半分強ですが、1人当たりでみると197.9万円となり、全世帯平均207.3万円と大きな差はみられません。また、世帯主が65歳以上の世帯人員1人当たりの年間支出は129.4万円と全世帯平均120.1万円を上回っています。

 世帯主が65歳以上の世帯の平均貯蓄残高は2,257万円と全世帯平均の1,664万円と比較して、約1.4倍となっています。特に世帯主の年齢が65歳以上の世帯(2人以上世帯)では、4,000万円以上の貯蓄を有する世帯が16.1%と全世帯(10.2%)と比べて高い水準となっています。

 60歳以上の暮らし向きについて見ると、「心配ない」と感じている人の割合は全体で71.0%であり、シニアマーケットをいかに取り込むかが個人消費を活性化する上で重要でしょう。


●シニア世代の消費の特徴

 高齢化が急速に進展するなかで、高齢者世帯の消費支出規模は拡大傾向で推移しています。高齢者が何を消費しているのか、総務省の「家計調査」(平成23年、総世帯ベース)から拾いだすと、世帯主の年齢階級別1世帯当たり1ヵ月間の費目別消費支出額において「交際費」、「保健医療」、「光熱・水道」、「家具・家事用品」に対する消費支出額が59歳以下の世帯と比較して多くなっています。

 こうした背景には、子供や孫への贈与金が含まれる「交際費」に対する支出が多くなることや、他の年代に比べて自宅にとどまる時間が長くなることによるものと考えられています。

 高齢者世帯のニーズが高い財、サービスは何かを総務省「全国消費実態調査」(平成21年)から抽出すると、「贈与金」、「修繕・維持工事費」、「国内パック旅行費」、「信仰・祭祀費」、「タクシー代」などは消費支出額が高く、かつ消費支出総額に占める割合が大きい品目となっています。特に「国内パック旅行費」は60歳以上の世帯の消費支出額が全年齢平均の1.4倍以上です。

 高齢者のニーズに応じた財やサービスを提供して消費支出につなげることが消費拡大の鍵と言えるでしょう。

【ニュースアンテナ8月号 税研情報センター】