ITS(高度道路交通システム)がもたらす未来
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:12/13/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 「誰でも、どこでも快適に移動できる社会」がすぐそこにやってきています。


●日本のITSの将来




 2013年10月にITS世界会議が東京で開催され、自動運転を含めたITS全般の施策について、世界中の関係者との情報共有や議論が行われ、車両メーカー等によるITS技術の発表も行われました。ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)とは、人と道路と自動車の間で情報の受発信を行い、道路交通が抱える事故、渋滞、環境対策といった様々な課題を解決するためのシステムのことで、1970年代初めから研究開発が始まったものです。
 

 ITS推進のファーストステージとして、カーナビ、ETC、VICS(道路交通情報通信システム)等の個別技術の研究開発が推進され、カーナビ市場の成長とともにこれらは日本のITSの成功事例として世界に知られています。その後、少子高齢化、エネルギー環境問題、地域活性化、交通事故といった将来的な課題解決としてITSの推進が求められ、取組の一環としての「自動運転システム」が現実味を帯びてきました。

 国土交通省より平成25年10月に公表された「オートパイロットシステムに関する検討会」の中間とりまとめによれば、自動運転の将来像として、「高速道路上におけるドライバー支援型の自動運転」システムの構築が目標とされています。具体的には2020年代初頭までに分合流部など混雑箇所を除く高速道路本線上の連続走行の実現、2020年代初頭以降は高速道路分合流部、渋滞多発箇所等の最適走行も含めた連続走行を目指すものです。


●今後の検討課題

 我が国を取り巻く社会環境は、今後大きく変化していくことが予想されています。先進国の中でも際立っている課題として、まず少子高齢化が挙げられますが、高齢者の社会活動への参画を促すことや、高齢者の交通事故対策を十分に行うためにITSが果たす役割は大きいと期待されます。また、CO2削減はエネルギー供給の問題とともに喫緊の課題となっており、ITSによって効率的な最適交通システムを構築することでCO2を削減することが期待されています。

 これからの課題としては、車両の安全制御や周囲の環境を把握するための技術開発をますます進めるとともに、ドライバーがシステムにまかせきりにならない仕組みを作り上げていくことなどが挙げられます。これらの課題を解決しながら、ITSは情報通信ネットワークの発展とともに社会システムを大きく変えるプロジェクトとして新たな産業や市場を創りだすものと期待されています。

【ニュースアンテナ12月号 税研情報センター】