海外展開一貫支援ファストパス制度
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:04/14/2014  提供元:税務研究会・税研情報センター



 中堅・中小企業の海外展開支援制度が2月25日より開始されました。

●支援制度開始の背景




 「海外展開一貫支援ファストパス制度」は世界市場で十分に勝負できる「潜在力」を持つ中堅・中小企業等への海外展開支援を円滑に進める制度で、2月25日より運用が開始されました。
 

 近年、新興国を中心に世界の市場は急速に拡大しており、この成長市場の獲得に向けて世界各国が激しい競争を広げています。このような変化の中、日本企業が持つ技術力を始めとした強みを生かし、成長著しい海外市場に活路を求める企業が増加していることが対外直接投資額の数字の上でも表れており、平成20年以降約13兆円で推移しています。

 しかしながら、情報、資金、人材などの海外展開を阻む様々な障壁があることも事実です。製造業における海外進出の断念理由として、国内で人材が十分に確保できなかった(37%)、予測が不十分で決断できなかった(33%)、国内対策で海外事業を手掛けられなくなった(31%)、条件の合う物件やパートナーがなかった(29%)、という結果となっており、これらの障壁を排除するための幅広い支援を求める声が高まっています。こうしたことを踏まえ、経済産業省と外務省では海外展開を考えている企業に対して、自治体、地域金融機関、商工会議所、外務省、ジェトロ等の支援機関で一貫したサポートを提供する制度が始まりました。


●制度の概要

 この制度は企業の海外展開を実現させることを目的としており、(1)地域の金融機関、商工会議所(紹介元支援機関)による経営支援・融資等の実績がある又は今後経営支援・融資等を行う可能性が高い中堅・中小企業等(支援先企業)であり、かつ、(2)支援先企業が2年以内の海外展開(進出・輸出)を計画していることが支援対象の必須条件となります。

 具体的な業務フローは、(1)紹介元支援機関が、支援先企業の抱える課題解決に向けてこの制度の利用を検討し、是非の判断を行う、(2)支援先企業への制度の説明及び同意取得、(3)外務省、ジェトロ等紹介先支援機関への企業情報の提供、(4)紹介先支援機関の受入部署の決定、(5)企業への支援開始、という流れになります。

 支援機関は現在、321機関あり、それらの機関が海外展開を目指す企業に対して一貫してサポートを提供する体制を取っており、この制度活用によって中堅・中小企業の海外展開が進むことが期待されています。

【ニュースアンテナ4月号 税研情報センター】