株式の上場
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:02/13/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 景気回復の期待を受けて、新規上場を目指す企業が増えてきました。


●株式上場の手順


 株式の上場とは、会社が自社の株式を「株式市場」という場を通じて不特定多数の人が自由に売買出来るようにすることを言い、株式を上場した会社は「パブリックカンパニー」とも言われます。

 上場は3年以上前から準備を進めなければならない一大プロジェクトであり、一般的なスケジュールは次のようになります(参考:J-Net21(中小企業基盤整備機構))。


 


1.

株式公開の検討(公開の意思決定、公開時期の決定、市場の選定、スケジュールの作成)
 

2.

公開準備室の設置(プロジェクトリーダーの決定、スタッフの補充、事業計画の策定・見直し)
 

3.

社内体制の強化(組織・業務フローの構築、内部監査体制の確立、社内規定の整備など)
 

4.

監査法人・主幹事証券会社の選定と依頼
 

5.

IR(株主や投資家に広く、明確に情報提供を行うといった広報活動全般)の作成
 

6.

事前審査(純資産額等の形式基準を満たしてから実質基準が審査される)
 

7.

証券取引所・日本証券業協会に上場申請
 

8.

上場
 

●メリットとデメリット

 株式の上場は経営者の夢の実現でもありますが、上場審査の厳格化、全上場企業へのJ-SOX義務化、上場コストの増加等、近年、株式上場を巡る環境は激変しました。株式上場に向けてどのようなメリット・デメリットがあるかを比較検討することが、上場の意思決定を行う上での重要なポイントとなります。

 上場のメリットとしては、知名度・信用力の向上、資金調達力の増大、優秀な人材の確保、創業者利潤の実現、経営管理体制の充実などがあげられ、デメリットとしては会社乗っ取りの危険性、株主価値増大への責任、ディスクロージャーの義務、コスト増、株主総会対策の負担増などがあげられます。

 2008年のリーマンショックにより急減した国内証券取引所への企業の新規上場数がこのところ回復の兆しを見せ始め、2012年の上場社数は前年比較11社増の48社となり、3年連続の増加となりました。また、今年の元日に経営統合した東証と大証は「日本取引所グループ」として業務を開始し、株式市場回復への期待が高まりつつあります。株式上場とは、企業を成長・発展させ、さらにその成長を加速させていくための重要な経営戦略の一つと言えるでしょう。

【ニュースアンテナ2月号 税研情報センター】