社会保障協定の仕組み
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:07/12/2012  提供元:税務研究会・税研情報センター



 海外で就労した場合の年金保険料の2重払い、保険料掛け捨てを回避するための協定です。


●社会保障協定とは


 日本を含めた世界のほとんどの国では、その国で就労している人をその国の公的年金制度の対象としています。国際的な交流が活発化する中、企業から派遣されて海外で働いたり生活する人が年々増加していますが、海外で働く場合には働いている国の年金保険料を支払い、かつ、受給権確保のため日本でも年金保険料を支払うという、いわゆる二重払いの問題が生じます。



 また、派遣先の国の年金制度に加入した期間が短いと、その派遣先国での年金受給は行われず、いわゆる保険料の掛け捨てという問題も生じます。

 このような問題を解決するのが、「社会保障協定」です。社会保障協定によって、「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)ことができ、保険料の掛け捨てとならないよう、日本の年金加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱うことで、その国の年金を受給できる(年金加入期間の通算)こととなります。

 2012年5月現在、日本はドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイスの14ヵ国と協定を締結(発効済み)しています。


●協定発効後の措置

 協定が発効している国々とは、具体的には二重負担の防止対応として、原則として就労する国の社会保障制度のみに加入することになります。ただし、協定相手国へ5年を超えない見込みで派遣される短期間派遣就労者の場合には、引き続き日本の社会保障制度のみに加入し、協定相手国の社会保障制度の加入が免除されます。

 一方、長期派遣により協定相手国で就労する人が、協定相手国の社会保障制度に加入することになる場合、原則として日本の社会保障制度の被保険者の資格を失うことになりますので、その人に生計を維持される配偶者については、日本の国民年金の第3号被保険者及び健康保険の被扶養者としての資格を失うことになります。

 この場合、住所地が日本国内のままである配偶者については、国民年金及び国民健康保険に加入することになりますのでご注意下さい。

 社会保障協定の内容は、基本的にそれぞれ同様の取扱いとなっていますが、締結相手国の制度内容等に応じて取扱いが異なる場合がありますので必ずご確認下さい。

 詳しくは、厚生労働省または日本年金機構のホームページをご参照下さい。

【ニュースアンテナ7月号 税研情報センター】