多様な正社員とその活用
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:09/12/2014  提供元:税務研究会・税研情報センター



 厚生労働省より「多様な正社員」普及・拡大のための報告書が公表されました。


●報告書のポイント




 「日本再興戦略」(平成25年6月閣議決定)などを踏まえ、「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会が平成25年9月に設けられ、このたび報告書がとりまとめられました。報告の趣旨としては、「いわゆる正社員」と「非正規雇用の労働者」の働き方の二極化を緩和し、労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスと企業による優秀な人材の確保や定着の実現のため、職務、勤務地又は労働時間を限定した「多様な正社員」を労使双方にとって望ましい形で普及させることが求められていることが背景にあります。
 

 多様な正社員の効果的な活用が期待できるケースとして、(1)勤務地限定正社員の活用、(2)職務限定正社員の活用、(3)勤務時間限定正社員の活用、の3つが考えられます。多様な正社員を導入した場合に、使用者が留意すべき事項として、(1)労働者に対する限定の内容の明示、(2)事業所閉鎖や職務の廃止等への対応、(3)転換制度、(4)均衡処遇、(5)いわゆる正社員の働き方の見直し、(6)人材育成・職業能力評価、(7)制度の設計・導入・運用に当たっての労使コミュニケーションなどが考えられるでしょう。

 多様な正社員といわゆる正社員との双方に不公平感を与えず、また、モチベーションを維持するために、双方の処遇の均衡を図ることが望ましく、さらに、「非正規雇用の労働者から多様な正社員への転換」、「いわゆる正社員と多様な正社員の間の転換」といった労働者のワーク・ライフ・バランスやキャリア形成への影響を考慮した制度を設定することが、企業にとっても人材育成に効果的と報告しています。


●処遇改善への支援策

 非正規雇用の労働者を雇用する事業主が労働者の処遇改善を行った場合、次のような支援が受けられます。

(1)キャリアアップ助成金

 有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、正規雇用への転換、人材育成、処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成金が支給される制度です。

(2)トライアル雇用奨励金

 職業経験の不足などから就職が困難な求職者を原則3ヵ月間の試行雇用をすることにより、その適正や能力を見極め、常用雇用への移行のきっかけとすることを目的とした制度で、対象者1人あたり月額最大4万円(最長3ヵ月間)の奨励金を受けることが出来ます。

【ニュースアンテナ9月号 税研情報センター】