労働関連のコンプライアンス
カテゴリ:03.ニュースアンテナ 
作成日:09/13/2013  提供元:税務研究会・税研情報センター



 労働関連法規の遵守が企業経営にとって以前にも増して重要となっています。


●労働分野のコンプライアンス




 コンプライアンス「法令遵守」を無視して企業経営が成り立たないことは今や誰もが承知していることですが、労働関連に関するコンプライアンスも企業が守るべき法令として最近では重要性を増しています。例えば、セクシュアル・ハラスメントやいじめのような職場での人権侵害のケースでは、被害を受けた従業員が、加害行為をした従業員だけでなく、企業に対しても損害賠償責任を追及する例が増えています。
 

 労働関連法規を遵守することは、良好な職場(サービス残業、労働災害、セクハラ、いじめなどがない職場)を実現することに役立つことや、従業員の雇用の安定や労働条件の維持向上にもつながり、企業の社会的責任(CSR)を果たすことができるでしょう。

 企業が労働基準法、労働安全衛生法などの法律を遵守することは当然のこととして、さらに従業員が公益通報者保護法などによって企業のコンプライアンスの実現に積極的に関与できる仕組みを整えるなどの対応を行うことも求められています。


●労働関係法規のチェック

 労働関連に関するコンプライアンスは企業のみならず、労働者を雇用するすべての者に対する社会的要請と言えます。この意味では、企業だけでなく個人事業主や社会福祉法人、NPO法人など、「人を雇うすべての使用者」に要請されるものだと言えるでしょう。

 労働分野に限らず、コンプライアンス経営には現状分析が欠かせませんが、自社の法令遵守の状況が確認できる「コンプライアンス・チェックテキスト」を秋田労働局が作成・公表しました。このテキストでは、「募集・採用」「就労時」「解雇・退職等の離職」の3分野について関連する法令に基づく合計78項目のチェック項目を設定し、それぞれに「知っている/クリアしている」というチェックをしていくことによって、自社で確認・見直しが必要な法令事項が理解できる内容となっています。

 たとえば、就労時のチェック項目としては、所定労働時間数、時間外・休日労働を行う際の協定、就業規則の作成・届出などがあります。もし、遵守されていない項目があった場合には、早めに事務手続きが必要となります。企業が継続して発展していくためには、経営に関わる問題として労働関連のコンプライアンスがこれまで以上に重要となるでしょう。

【ニュースアンテナ9月号 税研情報センター】