16年度補正予算7780億円 被災地へ「手厚い姿勢」をアピール
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:05/13/2016  提供元:エヌピー通信社



 政府は、熊本地震からの復旧に向けた2016年度補正予算案の規模を7780億円とする方針を固めた。財源は金利低下を受けた国債の利払い費の減少分を充て、新規国債は発行しない。04年に発生した新潟県中越地震後に編成した補正予算に盛り込んだ費用(約3000億円)の2倍超となったが、参院選を控えて、被災者・被災地支援に「手厚い」姿勢をアピールしたい安倍政権の意向もありそうだ。

 5月13日に閣議決定し、17日の早期成立を目指す。内訳は仮設住宅の建設費や避難所の運営費などの災害救助費に573億円▽住宅が全壊した被災者に最大300万円を支給する生活再建支援金に201億円▽犠牲者の遺族に支給する災害弔慰金などに6億円など。さらに、事前に具体的な使途を限定しない「熊本地震復旧等予備費」に7000億円を計上した。復旧事業の査定には時間がかかり、予算編成が遅れかねなかったためで、被災地の要望も踏まえながら、道路や橋などのインフラ復旧のほか、がれき処理、被災企業の事業再建などに幅広く充てる。

 政府は16年度当初予算で国債の金利を1・6%と想定し、利払い費を約9兆9000億円計上した。しかし、日銀が2月にマイナス金利を導入した影響で長期金利もマイナス0・1%程度で推移。利払い費が当初想定から1兆円超減る見通しで、これを財源に充てる。

 一方で、今回の補正予算の編成は「参院選対策」の思惑も見え隠れする。財務省内には元々、「16年度当初予算に計上した予備費3500億円の範囲で当面は十分対応できる」との声が強かったほか、編成作業中も予算規模は5000億~6000億円程度が見込まれていた模様。余震が相次ぐ中で被害状況を精査した結果、災害救助費が膨らんだ面はあるが、政府・与党関係者は「予備費は官邸の意向で大きく積み増された」と漏らしており、大型予備費を実際に早期執行できるかは微妙な情勢だ。