政府 特許譲渡の新ルール策定 不当な低評価による課税逃れ防止
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:08/21/2015  提供元:エヌピー通信社



 多国籍企業が特許などの無形資産を低税率国の子会社に譲渡して節税するのを防止する新たなルールを政府が導入する見通しとなった。経済協力開発機構(OECD)が9月に国際ルールを取りまとめる予定で、日本政府も他の加盟国と足並みをそろえる必要があると判断した。今後数年かけて国内法を整備する方針だ。

 多国籍企業が税金の安いケイマン諸島やバミューダなどの租税回避地(タックス・ヘイブン)に子会社を作り、本社から特許などを移転して課税逃れを図るケースが後を絶たない。

 税務当局は企業が無形資産を海外子会社に移転する際、価格に応じて課税している。しかし、研究開発中の特許などの場合は移転価格が適正かどうか評価するのが難しく、企業側が不当に低く設定して課税逃れをする恐れがある。税務当局は税源を侵食するとして問題視してきた。

 国際ルールはOECD租税委員会が策定を進めており、移転価格を評価する手法が見直される予定だ。具体的には、移転された特許などで実際にどれだけ収益があったかを確認し、移転価格を再評価。移転した当初の価格設定が不当に低かったと判明すれば、適正価格との差額に対し、時期をさかのぼって課税できる仕組みを検討している。

 OECD加盟国では既に同様のルールが導入しているケースもあり、米国は移転から5年まで、当初より20%以上の高いことが判明すれば移転価格を修正できる。日本政府はOECDのルール策定後、修正できる条件や期間などの詳細を検討する見通しだ。