最低賃金引き上げは14円 生活保護水準との逆転現象解消へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:08/19/2013  提供元:エヌピー通信社



 厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会(仁田道夫会長=国士舘大学教授)の小委員会は8月6日、平成25年度の最低賃金(時給)引き上げの「目安」を、全国平均で14円とすることを決めた。昨年度の「目安」は7円、「改定後」の引き上げ額は12円だった。審議会は使用者委員、労働者委員、公益委員の3者、合計12人で構成されるもの。この「目安」を指標として、都道府県の審議会では見直しに向けた議論がスタートするが、仮にこの通りに引き上げられれば、最低賃金の全国平均は現行の749円から763円にアップする。実現すれば、生活保護水準との「逆転現象」が全国的にほぼ解消される可能性もある。

 北海道、青森、宮城、東京、神奈川、埼玉、千葉、京都、大阪、兵庫、広島の11都道府県では、最低賃金が生活保護水準(時給換算)を下回る「逆転現象」が起きているが、「目安」の通りに時給が引き上げられれば、北海道を除く10都府県でこの状態が解消される見通し。北海道は22円の隔たりがあるため、平均の14円では「逆転」を解消できないが、地域の経済状況ごとに4つのランクに分けて提示している「目安」のうち、最高額にすれば、解消する可能性もある。

 平成22年には、「平成32年までに最低賃金の平均を1千円にする」ことを使用者、労働者、公益の3者が合意しているが、これは民主党政権下でのこと。仮にこれの実現をめざすとしたら、毎年平均30円以上のペースで引き上げていく必要がある。

 最低賃金法では、「勤労意欲の低下」を防ぐ観点から、最賃時給が生活保護水準を下回ることがないように定めている。平成25年度の生活保護費は、国費ベースで2兆8224億円。これに自治体の負担分を加えた総額は3兆7632億円となっている。今年4月時点での受給者数は約215万人で、受給世帯数は約158万世帯。受給世帯の大半を「高齢者世帯」(約71万世帯)と「傷病者世帯」(約28万世帯)が占めているが、働ける世代を含む「その他の世帯」も約29万世帯受給している。