「特区制度」活用で産業振興 震災復興会議が中間整理
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:06/03/2011  提供元:エヌピー通信社



 政府の復興構想会議(五百旗頭真議長)は5月29日開いた会合で、「審議過程で出された主な意見」と題した中間整理をまとめ、地域と期間を限定して規制緩和などを認める「特区制度」を活用することを政府に求めることで合意した。論点を5分野に整理し、焦点の復興財源に関しては増税が必要との意見を挙げたが、反対論も併記した。今後は6月末の1次提言に向けて意見集約に入る。

 5分野は(1)東日本大震災のとらえ方(2)まちづくり・再開発(3)地域経済社会の再生(4)原発事故による被災への対応(5)国の対応(復興のための資金確保、エネルギー環境政策、社会保障政策)。

 特区制度では、「(太陽光など新エネルギーを活用した)産業振興を中心に検討する」(飯尾潤・検討部会長)構えで、土地規制に関する法律が漁港、農地、海岸などに分かれている問題点も指摘し、特区を一体的な整備のために活用することを提案した。

 一方、財源確保の議論は遅れが目立つ。列挙された14の意見の多くは「全国民レベルでの負担の分かち合いが必要」「将来世代に負担を先送りしない」など、増税への賛成論が大勢だったが、「財源議論の前の既存歳出見直し」などの慎重意見も併記された。増税する場合でも、どれだけの額が必要かの議論や、どの税項目を上げるべきかの議論は未着手だ。

 税と社会保障の一体改革案が6月20日にまとまるだけに、財源論議を先行して進めにくい事情はあるものの、「どんな立派な復興計画でも財源が無ければ絵に描いた餅」(ある委員)だけに、正面からの議論が求められそうだ。