国と地方、早くも税源争奪戦 捕らぬ狸の……「消費税」?
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:06/17/2011  提供元:エヌピー通信社



 税と社会保障の一体改革に伴う消費税増税を巡り、国と地方の財源配分論議が白熱している。国の財政健全化のために地方への配分抑制を狙う与謝野馨経済財政担当相や財務省に対し、片山善博総務相や地方自治体が反発。具体的な配分比率は今秋以後に協議するが、「大蔵・自治の百年戦争」の延長戦が、議論の迷走に拍車をかけている。

 「地方の意見を全く取り入れていない」。官邸で開かれた「国と地方の協議の場」の初会合で、山田啓二全国知事会長(京都府知事)は政府の改革原案に激しく反発した。原案では、消費税率を2015年度までに段階的に10%引き上げる方針を盛り込んだが、増税分の国と地方の配分を明記しなかった一方、将来は消費税収全体を社会保障目的税化する考えも示している。

 与謝野氏は、「地方財政は黒字だが、国の財政は危険水準に近づいている」と強調し、地方配分を抑える考えをにじませる。地方は現在、地方消費税や地方交付税で消費税収の43.6%分を受けているが、これを維持すると、増税の国の取り分は7.6兆円にとどまり、2015年度の財政健全化目標の達成が厳しくなる。

 一方、地方は、税収の使途が限定されかねないこともあり、激しく反発する。特に片山氏は、乳幼児健診など地方単独事業にも消費税を充てるよう主張し、その場合「消費税10%では足りない」とまで発言。財務省は「土壇場になって議論を倒そうとするのか」(幹部)と片山氏への怒りが収まらない。政府・与党の成案では、単独事業への一定配慮を示す方針だが、国と地方の対立は激しく、秋以後の具体論の先行きは不透明だ。