プロ向けファンド 規制強化へ閣議決定 高齢者だますなど悪用相次ぐ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/27/2015  提供元:エヌピー通信社



 政府は3月24日、高齢者の投資トラブルなどが相次いでいた「プロ向けファンド」への規制を強化する金融商品取引法改正案を閣議決定した。不正を働いた悪質な業者に対して業務改善や業務廃止などの行政処分ができるようになる。改正案は今国会での成立を目指し、公布から1年以内に施行される見通し。

 麻生太郎財務相兼金融担当相は同日の閣議後記者会見で、「投資者被害を適切に防止する方策を早期から講じていくことが必要だ」と説明した。

 「プロ向けファンド」は、ベンチャー企業などが資金調達に利用することを想定した制度。制度を利用する運営業者には資本金などの規制がなく、金融庁に届け出るだけで業務ができる。金融商品に知識のあるプロの投資家が1人以上含まれれば、49人以内の一般個人への販売が可能になる。

 法改正に際して、運用業者に対して不適当な勧誘を禁止することを義務づけるほか、事業報告書の作成や金融庁への提出などを求める。また、個人投資家に販売する場合は、金融資産を1億円以上保有する富裕層などに限定する。

 また、ベンチャーファンドへの資金供給を妨げないため、上場会社の役員や弁護士などへ販売対象を限定的に広げる規定を設ける。

 プロ向けファンドの届け出は現在約3千に上る。しかし、投資に不慣れな高齢者が嘘の説明を受けて売りつけられたり、プロ投資家の出資にほぼ実態がなかったりするケースなど、制度の悪用が相次いで表面化。金融庁が問題視する業者は2割に達し、消費者団体などから対策を求められていた。

 金融庁は「ファンドへの信頼確保と、成長資金の円滑な供給を両立させたい」(幹部)と話している。