金融庁株主総会の分散化促進7月開催で出席率アップ目指す
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/13/2015  提供元:エヌピー通信社



 金融庁は、株主総会の日程分散化に向けた本格的な議論に着手した。6月下旬に集中している株主総会の7月開催を企業に促したい考え。株主が株主総会に出席しやすい環境を整えることで、建設的な対話を通じて企業の成長につなげる狙いだ。

 国内では3月末に決算期を迎える上場企業の大半が、実務上の都合から基準日を決算期末に設定。3月期決算の上場企業の8割強が6月下旬に株主総会を開いている。

 このため、複数企業の株式を保有する株主が同時期に開催される総会に参加しづらいほか、複数企業の社外取締役を兼務する役員がすべての総会に出席できない場合があるなどの問題が生じている。

 金融庁によると、株主総会の7月開催は、基準日を4月にずらすことで現行制度のままでも実現は可能だ。ただ、企業側には新たな経営陣の決定が遅れることなどへの抵抗感が根強いことから、分散化は実現してこなかった経緯がある。

 こうした問題に対処するため、金融庁は金融審議会(首相の諮問機関)に専門部会「ディスクロージャーワーキング・グループ(WG)」(座長=神田秀樹・東京大学大学院教授)を設置。11月10日の初会合では、招集通知の発送から株主総会までの日数が平均約18日と欧米より短く、株主が業績などを吟味する時間が少ない点などと合わせて株主総会の日程・手続き全般を巡る課題について議論した。

 出席者の一部は、3月期決算企業の多くが6月の株主総会後に有価証券報告書を公表している点を問題視し、「詳細な財務情報が総会後に提出される有価証券報告書に含まれていることに違和感がある」と指摘。金融商品取引法で期末から3カ月以内と定められている有価証券報告書の提出を先行させ、その後の7月に株主総会を開くべきだと訴えた。

 同WGは、有価証券報告書と決算短信、事業報告書など開示書類の書式見直しなども同時に進め、今年度中に提言をとりまとめる方針だ。