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日本国債の格付け引き下げ 危機感のない日本政府に警告
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:09/02/2011 提供元:エヌピー通信社
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本国債の格付けを21段階中3番目の「Aa2」から4番目の「Aa3」に1段階引き下げた。民主党代表選では財政規律を重視する野田佳彦財務相が勝利したが、党内の増税反対論は根強い。
米欧の財政問題が世界経済のリスク要因として台頭する中、危機感に欠けた日本政府に警告をつきつけた格好で、財政再建に向けた野田新首相の実行力が問われる。
ムーディーズの格下げは2002年5月以来。同社は格下げ理由について、多額の財政赤字と政府債務の増加に加え、東日本大震災後の弱い経済成長見通しの3点を挙げた。この結果、格付けは財政不安が顕在化するスペインやイタリアも下回り、先進国で最低レベルとなった。
日本の国と地方の長期債務残高は11年度末で894兆円と国内総生産(GDP)の1.8倍に及ぶ。税収が歳出の半分にも及ばない深刻な財政赤字で、債務は膨らむ一方だ。しかし、政府・与党が6月末にまとめた税と社会保障の一体改革案は、消費税率を10%に引き上げて財政再建につなげる考えを盛り込んだが、党内の反発を受け、増税時期を曖昧にすることで決着した。
野田新首相は一体改革の実現に意欲を見せるが、党内融和のために政調の権限強化を図る考えも示しており、増税アレルギーが強い党内をまとめるのは容易ではない。市場金利はなお低水準だが、ムーディーズは「一体改革の実施が遅れればさらなる格下げにつながる」と警告する。今年1月に上から4番目に引き下げた米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も一段の格下げを検討するなど、市場は財政再建の行方を厳しく注視している。
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