所得拡大税制中小企業の優遇拡大
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:12/02/2016  提供元:エヌピー通信社



 政府・与党は賃上げした企業の法人税負担を軽くする「所得拡大促進税制」について、適用条件として前年度比2%以上の賃上げを条件とする方針を固めた。大企業は、2%以上の賃上げが実現できない場合、減税を認めない。中小企業は、2%未満の賃上げでも減税するが、2%以上賃上げした場合は減税額を20%超に拡大する。賃上げの目標水準を明確化することで、賃上げのすそ野が広がるよう後押しするのが狙いだ。現行制度では、▽従業員数にかかわらず給与支給総額が基準年度(2012年度)より一定以上(17年度は大企業5%、中小企業3%)増加▽給与支給総額が前年度以上▽従業員1人当たりの平均給与が前年度以上――の3要件を満たす企業は、規模を問わず、賃上げ総額の10%を法人税額から差し引くことができる。

 見直しでは、従業員1人当たりの平均給与に関する要件を変更し、「前年度比2%以上」とする。賃上げ率2%は大企業の平均的な水準のため、この条件を満たさない場合、大企業は減税措置の対象から外す。大企業にはより主体的に賃上げに取り組むことを求める。

 一方、賃上げの動きが弱い中小企業は2%の条件を満たさなくても現行通り前年度以上の賃上げを実施した場合は10%の減税は受けられるまま。だが、2%以上の条件を満たす場合は、賃上げ総額の20%超を法人税額から差し引くことができるようにする。積極的に賃上げに取り組む中小企業の税の軽減効果を大きくすることで、大企業並みの賃上げにつながるようにする。

 安倍晋三首相は、経済界に対し17年春闘で賃上げを求めている。14年春闘以来、大企業の賃上げ率は3年連続で2%を超えたが、円高などの影響による企業収益の悪化で17年春闘は上昇率の鈍化が懸念されている。