消費増税再延期の“地ならし”か国際金融経済分析会合の設置表明
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:03/07/2016  提供元:エヌピー通信社



 「政府が2017年4月の消費増税先送りの検討に入ったのでは」との観測が、市場や政官関係者の間を駆け巡っている。きっかけは安倍晋三首相が3月1日、日銀の黒田東彦総裁や国内外の有識者らを集めて世界経済の情勢を議論する「国際金融経済分析会合」の設置を表明したことだ。首相は夏の参院選に勝利しさえすれば、残る自民党総裁任期(18年9月)中の政権運営のフリーハンドを得られるだけに「分析会合でお墨付きを得て、景気下支えや選挙対策になるサプライズを打ち出す気では」(邦銀筋)と受け止められている。

 首相は1日、国会内で記者団に「伊勢志摩サミットで現下の世界経済の情勢は間違いなく最大のテーマになる。サミットではG7のリーダーたちと、どう協調できるかを議論し、明確なメッセージを発出したい」と語り、分析会合は5月の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)準備の一環だと説明した。

 原油価格下落の影響や金融市場の混乱、中国など世界経済の見通しを主なテーマに、今月からサミットまでに5回程度開催。政府側は首相、麻生太郎副総理兼財務相ら関係閣僚が出席し、海外の著名な経済学者からもヒアリングする予定だ。

 この会合の設置理由が額面通りに受け止められていないのは、首相が14年に消費税率10%先送りを決断した際、増税の賛否を有識者から聞く「点検会合」で地ならしをした経緯があるためだ。

 首相は1日の衆院予算委員会で民主党議員から「(会合は)消費増税引き延ばしのためか」と問われると「リーマン・ショック、大震災級の出来事がない限り、予定通り(増税を)行いたい」と答弁し、先送りを改めて否定した。一方で首相は最近「世界経済の大幅な収縮が起きているか、専門的見地の分析も踏まえ、政治判断で決める」と増税先送りを視野に入れたかのような答弁もし始めている。