政府税調 法人実効税率引き下げ審議へ 海外発のネット配信にも課税検討
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:10/11/2013  提供元:エヌピー通信社



 中長期的な税制のあり方を議論する政府税制調査会(会長・中里実東大教授)は10月8日、第3回会合を開いた。政府が来年4月からの消費税率引き上げを正式に決定してからの初めての会合で、安倍晋三首相が意欲を示す法人税の実効税率引き下げについて、政府税調でも今後は中長期的な視点から議論していくことを確認した。このほか、海外からインターネットで電子書籍や音楽などを日本向けに配信するサービスへの消費税課税についても議論していく。

 中里会長は「本調査会でも法人課税を含めてあるべき税制のあり方について、審議を行っていく」とあいさつ。会議では特別委員の新浪剛史ローソン代表取締役CEOから「法人税を下げることは大変重要だが、実効税率を下げるだけでは必要十分条件ではなく、規制改革や構造改革を合わせ技でやらないと本当の効果が上がらない」との意見が出た。中里会長は会合後の記者会見で「あくまで中長期的な租税体系全体で議論するので、目の前の税率に着目した議論にはなりにくい」と述べ、具体的な税率などは与党税制調査会で検討していくとの認識を示した。

 政府税調では今後、グローバル企業が税率の低い国の制度を利用して納税を逃れる「租税回避」問題と、共通番号(マイナンバー)の税分野での活用という2つのテーマについて、それぞれ小グループを作り協議する。海外にサーバーを置き、ネットで電子書籍などを日本に配信する場合、現行法上は「国外取引」として消費税は課税されない。消費税が5%から8%に引き上げられ、消費税を納める国内のネット事業者からは税制上の格差がさらに広がることに対して懸念の声が出ており、国外のネット事業者への課税についても、租税回避問題を扱うグループで議論する。