金商法改正案 M&Aなど未公表情報の漏えいも処分対象
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:11/30/2012  提供元:エヌピー通信社



 企業の公募増資を巡るインサイダー取引が相次いだことを受けて金融庁が検討してきた規制強化策が大筋で固まった。規制対象外の証券会社による未公表の企業情報の漏えい行為を新たに処分対象に加えることが柱になる。さらに、未公表情報を基にインサイダー取引を行った機関投資家らに対する課徴金を大幅に引き上げる方針。当局の厳しい姿勢を示し、海外から「インサイダー天国」とやゆされた日本の株式市場に対する不信を払拭したい考えだ。

 金融庁は7月から金融審議会(首相の諮問機関)で規制強化策を論議。今回、規制強化策が固まったことを受け、来年の通常国会に金融商品取引法改正案として提出する方針だ。市場では手数料獲得を狙いに一部の大口顧客に情報を漏えいする証券会社のモラル無き営業への批判とともに、欧米に比べて甘い日本のインサイダー規制が問題となっていた。

 現行のインサイダー規制は未公表の重要情報を基に不正取引した企業の内部関係者や投資家の処分に重点を置いている。しかし、新規制では公募増資やM&Aなど未公表の重要情報の漏えい者も処分対象に加える。

 特に証券会社の場合は、情報漏えいがインサイダー取引につながったかどうかにかかわらず、処分の対象とする方針だ。これは当局が買収の仲介や増資手続きなどを担う証券会社には、公正な市場確保への重い責任があるとみているため。証券会社の情報漏えいに伴う課徴金については、増資やM&Aの引き受け手数料を全額没収する案などを検討している。