消費増税判断の重要指標 実質GDP年率換算で2.6%増
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:08/23/2013  提供元:エヌピー通信社



 内閣府が12日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算で2.6%増となった。同期のGDPは、安倍晋三首相が今秋に消費増税を最終判断する際の重要な経済指標。3四半期連続でプラス成長を確保し、増税の前提となる「経済状況の好転」を一定程度は確認する内容となった。安倍首相は経済指標や有識者の意見を踏まえ慎重に決断するとみられる。

 甘利明経済再生担当大臣は同日の記者会見で「(消費増税の)判断材料の一つとしては、引き続きいい数字が出ているという認識」と述べた。

 物価変動を反映し、生活実感に近い名目成長率は0.7%増、年率換算で2.9%増。2012年7~9月期以来、3四半期ぶりにデフレ経済を象徴して名目が実質を下回る「名実逆転」を解消した。

 実質成長率の内訳をみると、GDPの約6割を占める個人消費が前期比0.8%増となり、前期の勢いを保った。株高などで消費意欲が改善、高額品の売れ行きが引き続き堅調なほか、衣料などの販売が好調だった。公共投資も1.8%増で、2月成立の12年度補正予算に盛り込んだ事業の執行が押し上げた。

 輸出は3.0%増と2期連続のプラス。米国向けの自動車が伸長し、アジア向けも緩やかに持ち直しているが、新興国経済の減速などを受けて伸び幅は前期から小幅縮小となった。一方、輸入は火力発電燃料の天然ガスの調達などで1.5%増。輸出から輸入を差し引いた外需は実質GDPを0.2%押し上げた。

 一方、設備投資は前期比0.1%減となり、6期連続でマイナス。ただ、マイナス幅は縮小傾向にあり、円安による企業収益の改善で設備投資意欲が高まりつつある。住宅投資も0.2%減で、5期ぶりのマイナスに転じた。消費増税を意識した駆け込み需要が増え着工件数は増えているが、工事の支払いに反映されない分もあり、市場のプラス予想を下回った。

 大和総研は「今回の結果を踏まえて、消費税増税は予定通り行われる」とみている。