金融庁 銀行の規制緩和 持ち株会社の業務幅拡大へ
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/27/2015  提供元:エヌピー通信社



 金融庁は3月から、銀行業を中心とした金融持ち株会社の事業範囲を広げる規制緩和の検討に入る。銀行グループが決済サービスのIT企業などを買収できるようにするほか、持ち株会社が資産運用などの業務に直接携わる仕組みなどを盛り込む。金融サービスの向上や経営効率の改善などにつなげる狙いで、今年中にも法改正などの方向性をまとめる方針。

 金融庁は3月3日、金融審議会(首相の諮問機関)を開き、金融持ち株会社のあり方を見直す有識者会議の設置を決める。議論を踏まえ、早ければ2016年の通常国会で銀行法などの改正案を提出する見通し。

 規制緩和の柱は、銀行グループが新たな決済サービスなどに参入しやすくなる仕組み作りになる。現行の銀行法では、本業の健全性を損ねるリスクを少なくするため、金融関連以外の事業会社への出資、買収が制限されている。今回の議論では、銀行持ち株会社の傘下に、電子商取引など決済サービスを営むIT企業そのものやIT企業との共同出資会社などを置けるようにする。先行するIT企業などとの連携強化を促し、新たなサービス展開などを後押しする。

 また、子会社の経営を監視する持ち株会社の業務を、これまで直接できなかった資産運用やシステム管理業務などにも広げる検討も進める。グループ内の関連業務を一括管理することで事務コストの削減などを図る。

 米国では金融大手が決済関連のIT企業などへの出資や買収を加速。国内の金融業界からもIT業界への進出をしやすくするよう、環境整備を求める声が寄せられていた。

 金融庁も「金融とITの融合が急速に進んでいる」(幹部)と受け止め、国際的な競争の足かせになるような規制の見直しを急ぐ考えだ。