地銀再編 大正銀行 トモニ傘下へ 相次ぐ「越境」統合
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:04/10/2015  提供元:エヌピー通信社



 四国の第二地銀グループ「トモニホールディングス」(本社・高松市)と、三菱UFJフィナンシャル・グループ系列の大正銀行(本店・大阪市)が、来春の経営統合に向けて協議していることが4月6日、明らかになった。人口減少や収益低迷に悩む地銀に対し、金融庁は再編を含む経営改善を求めており、今後も県境を越えた地銀同士の「合従連衡」が続きそうだ。

 トモニは2010年に誕生し、香川銀行、徳島銀行を傘下に持つ。大正銀の株式は三菱UFJが25%を保有する。三菱UFJは大正銀の株式をトモニの株式と交換する方向で検討し、大正銀はトモニ傘下に移る。

 トモニの営業基盤の四国では人口減少が続き、将来の収益確保が課題になっている。大都市の関西圏に地盤を持つ大正銀を取り込むことで、人口の多い市場への業容拡大を図ることができる。

 大正銀は関西の地銀では規模で劣るが、トモニと業務で使うシステムが同じで、巨額の経費を抑えられるメリットなどが期待できる。

 昨年から、横浜銀行(横浜市)と東日本銀行(東京都)、肥後銀行(熊本市)と鹿児島銀行(鹿児島市)など、県境を越えた地銀の経営統合の動きが相次いで表面化している。今回は県境を越えた統合の流れに沿うだけでなく、メガ系列の地銀が絡む再編になる。

 金融庁は、中小企業向け融資で2割強の地銀が赤字になっている現状を問題視。課題が残る地銀に対し、「5年~10年先のビジネスモデル」を描く上で再編を含む抜本的な経営改善策をとるよう求めている。

 今回の動きについて、ある金融庁幹部は「人口減少が避けられない四国の地銀が大都市圏にビジネスを広げられる」と指摘し、再編の動きを歓迎している。