消費税軽減税率還付金制度案に早くも黄信号
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:09/18/2015  提供元:エヌピー通信社



 財務省が消費税10%時の負担軽減策として提案している還付金制度案は公明党の強い反発で早くも黄信号がともっている。自民党からも慎重意見が相次ぎ、与党はこれまで検討してきた軽減税率制度と並行して検討することになった。

 与党から否定的な意見が相次いだ要因は、来年1月に始まるマイナンバー制度の個人番号カード(マイナンバーカード)の活用を前提としている点だ。同制度は各機関で分散管理されている個人情報がひも付けされるため個人情報流出に対する国民の不安は根強い。日本年金機構でサイバー攻撃による情報流出が起きたことで、還付金制度案にも国民の不安が波及した。未運用のマイナンバー制度が十分に機能するか見通せないことも還付金制度への懸念につながっている。

 還付金制度案は、消費者が店頭で対象品目を購入する際、いったん消費税10%分を支払い、のちに申請に基づき、2%分(年間限度額あり)が本人名義の口座に振り込まれる仕組み。公明党は当初、痛税感の緩和が期待しにくい点を批判していたが、次第にマイナンバー制度を前提にしている点に批判の矛先を向けるようになった。「本当に機能するのか」「非現実的だ」との批判は公明党だけでなく、自民党からも相次いでいる。

 財務省幹部は「ここまで反発が強いとは想定外だった」と明かし、麻生太郎財務相は還付金制度案が与党協議で修正される可能性に言及している。公明党は軽減税率制度について独自案をまとめる方針だが、還付金制度案の検討ではマイナンバー制度の活用が除外されるかどうかが焦点となりそうだ。