酒税法改正 酒の過度な安売り規制へ 家計圧迫する改正に反発も
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:04/17/2015  提供元:エヌピー通信社



 自民党は4月14日、量販店などが酒類を過度に安売りしないよう促すため、酒税法などの改正案をまとめ、議員立法で今国会に提出する方針を確認した。酒の販売業者が適切な販売価格を定める上での取引基準などを法制化し、財務相の命令でも改善に従わない業者に対して免許の取り消しが可能になる見通し。競争激化で苦しい経営を強いられる小型の酒店などの要望を受けたが、基準次第では消費者の家計を圧迫するおそれもある。

 同日開かれた党財務金融部会などの合同会議で議論され、公明党とも事前の調整を進めていた。改正案は公布から1年以内の施行を目指す。

 酒類の販売をめぐっては、出店の規制が緩和されて新規参入が増え、競争が激化してきた経緯がある。地域の人口や既存店との距離などに応じて出店が規制されていたが、1990年代後半から徐々に緩和。スーパーやコンビニ、大手量販店などが相次いで酒の販売を手がけるようになった。特に大手業者は大量の仕入れなどで価格設定に有利で、業界内で顧客の奪い合いが厳しさを増した。

 国税庁は2006年、価格の合理性や妥当性などの一定の取引指針を示し、不当な価格設定があれば行政指導などで業者に改善を促してきた。ただ、法的拘束力がなく、安売り競争が止まらないことなどから、規模の小さな酒店を中心に法改正などを求める声が高まっていた。

 改正案では違反者に対する罰則も設けることから、「従来と比べて競争の激化を鎮める効果が期待できる」(国税庁関係者)とみられている。ただ、取引基準の設定の方向性によって大きく影響を受ける量販店や消費者からの反発も予想され、議論の行方に注目が集まっている。