経済財政諮問会議 財政再建へ議論スタート さらなる増税も視野に
カテゴリ:01.週刊NP 
作成日:02/06/2015  提供元:エヌピー通信社



 政府・与党内で夏をめどに策定する新たな財政健全化計画に向けた議論が本格化してきた。経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は民間議員が社会保障と地方行政の改革を中心に検討を進めるよう提言。4月をめどに、社会保障とそれ以外の分野、歳入増、予算制度などのテーマについて論点を整理する。

 自民党でも財政健全化に向けた歳出抑制策について議論する「財政再建に関する特命委員会」が発足。消費税率10%への引き上げ1年半延期したなかで財政再建を目指すには大胆な歳出改革が不可欠とし、社会保障を中心に具体的な歳出カットについての議論を始めた。

 政府は2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標を掲げており、新たな計画はこの目標達成に向けた道筋を描くもの。ただ、内閣府の試算では名目3%、実質2%の経済成長で推移したとしても20年度は11兆円の赤字が残る。

 このため、消費税を含むさらなる増税が避けられないとする声もある。麻生太郎財務相は「中長期的な視点から税制体系全般の構造改革を検討していく必要がある」「歳入面についても既存税制の部分的な手直し程度では(うまく)いかない」と述べており、歳出削減だけでなく、税制の抜本改革を通じた増税の可能性を示唆している。

 経済同友会が発表した財政再建に関する提言では、消費税を予定通り10%に引き上げるだけでなく、17%まで段階的に追加で増税すべきだと求めている。かつて自民党では成長重視の「上げ潮派」と増税派が激しく対立したが、春の統一地方選を前に増税や歳出カットなどの不人気政策を封印したい思惑がくすぶる中、議論は混迷を極めそうだ。