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政府の円高是正策に疑問の声 「小手先の買収支援など効果なし」
カテゴリ:01.週刊NP
作成日:10/07/2011 提供元:エヌピー通信社
歴史的な円高を受け、政府が打ち出した外国為替資金特別会計(外為特会)のドル資金を活用した日本企業の海外での企業買収支援制度について、市場から効果を疑問視する声があがっている。
制度は外為特会から1000億ドル(約7兆6000億円)を国際協力銀行(JBIC)に低利融資。JBICは民間金融機関と協力し、海外での企業買収や資源獲得を狙う日本企業に必要な資金を提供する。
円高を逆手にとって海外の優良資産の獲得を後押しすると同時に、日本企業が買収資金確保のため手持ちの円資産を外貨に転換することによる円売りを促し、円高是正につなげる狙いがある。
政府・与党は円高対策の柱として期待しており、民主党の前原誠司政調会長は融資枠の10兆円規模への拡充を提唱している。JBICも5日、この枠組みを利用して国内大手3行に総額430億ドル(約3兆3000億円)を限度とする融資枠を設定したと発表するなど、融資体制も整いつつある。
「企業の関心は高く、融資に関する問い合わせも多い」。担当者はこう説明するものの、どこまで利用が広がるかは見通せない状況。企業や資源の買収は調査に時間がかかりニーズの掘り起こしが難しいうえ、「日米ともにゼロ金利状態にあるため、企業は制度を使わなくても市場から低利で資金を調達できる」(アナリスト)ためだ。
円高是正効果も欧米景気の先行き不安という構造的要因が変わらない限り、効果をあげることは難しい。民間からは「買収支援など小手先の対策ではなく、資本規制を含む大胆な政策が必要だ」とさらなる「劇薬」を求める声もあがっている。
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